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ハマイズです。なんかもうキャラの捏造が甚だしいですが(まあ最初からだけど)、それでも大丈夫、同人、女性向ばっちこいな人はどうぞ。

「好きだ」
 
夢の中で、あいつが言った言葉。もちろん俺が憧れた頃のあいつではなくて、今の情けないあいつだけど、不覚にも格好いいと思ってしまった。
 
 
嫌な夢を見た日の朝は気分が悪くなる。昨日の夢は最悪だった。夢に浜田が出てきた時点でいい夢ではないのに、その上あの内容だ。気が滅入るのはむしろ当然のことだろう。大体あれじゃまるで俺が浜田からあんな言葉を言って欲しいと思ってるみたいじゃねえか。
 
そう思ったところで、朝食が運ばれてきたので思考を中断する。ま、初夢じゃなかっただけマシか。とよく分からない理論で自分を慰める。朝食は育ち盛りの高校生にとって欠かせないものだ。朝食を抜かすとその日一日が駄目になってしまう。
 
朝食を食べ終えてから一直線に学校へ向かう。朝練は毎日朝早く始まるので正直つらいときもあるが、やり終えた後の達成感は気持ちのいいものだった。そしてその高揚した気分のまま田島たちと教室へ向かう。
 
「なあ、初夢見たか!?」
「あ~、見てねえな」
「俺も!見てねえ」
 
喋りながら廊下を歩いていると、田島がそんなことを聞いてきた。俺はちらりと今日の夢のことを思い出したが、すぐに頭から追い出した。昨日の夢はどんなものだったかと考えてみると、見た記憶がなかったのでそう答えた。三橋はどうなんだとそちらを伺うと、すごく悩んでいた。たぶん思い出せないんだろうなと思いながら待っていると、ようやく夢の内容が分かったのかすごく嬉しそうな顔で言った。
 
「お、俺、今日すごく大きい、肉まん、食べる夢見た」
「まじで!?いいなー。俺も食べたい」
「三橋らしいな、その夢」
 
夢のことを思い出してよだれをたらしている三橋と、大きい肉まんを想像して食欲をかきたてられている田島と一緒に笑いながら、廊下を歩いている。三橋の言葉にどこかひっかかったような気がしたのだが、よく分からない。きっとそこまで大したことじゃないだろうとそれを片付けようとしたところに、花井の声が聞こえた。
 
「おいお前ら。何笑ってんだよ、こっちの教室の中にもすごく聞こえてるぞ」
「あ、花井!」
「は、花井く・・・」
 
花井は窓から顔を出して、俺達に注意する。花井の声も結構廊下に響いてるんだけど、それはいいのか。そう思いながらも何かと大変なことが多いキャプテンに余計なことを言うのは止めておく。
 
「今さ、三橋初夢って聞かれて今日の夢言ってたじゃん。初夢って元旦の夜見る夢じゃねえの?」
 
それだ。泉が三橋の言葉を聞いて疑問に思ったのは、今花井が言ったことだ。泉も初夢は元旦の夜見た夢で、昨日の夢は関係ないんじゃないかと思ったのだ。謎が解けてすっきりとすると同時に、また新しく分からないことが増えた。どちらが本当の初夢なのか。
 
「え、でも俺、普通に今日の夢が、初夢だと思ってた、よ」
「俺もー。今日の夢だと思ってた」
「俺花井と同じこと思ってたんだけど」
「だよな、でもどっちなんだ?」
 
そういえば、一月二日の夜の夢が初夢だという話も聞いたことがあるような気がしてきた。四人でああでもないこうでもないと言い合っていると、その姿を見て不思議に思ったのか水谷が寄ってきた。
 
「何なに?何してんの?」
「あー、今な初夢が元旦の夜見るものなのか、二日の夜見るものなのか話してるとこなんだよ」
 
花井が丁寧に要約してそう伝えると、水谷は珍しく納得した顔をして誇らしげに言った。
 
「それってさ、どっちも初夢らしいぜ」
「まじで!」
「はあ~?」
「は?」
「えっ」
 
三者三様ならぬ四者四様の答えが返ってくる。水谷はそれに驚いて、一歩泉たちから遠ざかった。泉は思わぬ答えに焦っていた、もし今日の夢も初夢になるのなら、縁起でもない一年になりそうだ。別に気にすることでもないのだろうがそう思うと気にしてしまうのが人の常だ。それに初夢という特別に名前の付けられている夢で浜田の夢を見てしまったことが妙に嫌だった。
 
「水谷、それ本当かっ」
「うん、この前そのこと姉ちゃんと話したから間違いない。ってどうしたんだよ」
「いや、別に・・・」
 
水谷の間違いという可能性も無くなってしまった。花井と水谷に別れを告げて九組に辿りつくと、真っ先に浜田と目があった。時計を見るとHRまでもう五分も残っていない。もう少し早く戻っていれば良かったと後悔する。そしたら浜田といきなり目が合うことはなかっただろうに。
 
「泉、おはよ」
「・・・はよ」
 
駄目だ、目が合わせられない。そんな些細なことに浜田が気付くとは思えないが、それでも意図的に目を合わせていないのだと自分は知っているので、誤魔化しがきかない。どうか浜田がこのことに気付きませんようにと、泉はそう念じた。
 
 
夢の中のあいつに答えを返す前に夢から覚めてしまったけれど、きっと俺はあいつのことばに頷くつもりだったんだと思う。いまはまだこの距離でいたいけど、いつかこの夢のようになる日がきてもいいかもしれない。
 
そう思っている自分に気付いて、慌てて横を見る。浜田は俺と目が合うとにこっと笑った。
 
「笑ってんじゃねーよ。キモいぞ浜田」
「え、非道くね?泉が見てたんだろ?」
「知らね」
 
今はまだこの距離で。
 
 
 
 
 
 
 
初夢・・・皆さんは見られましたか?管理人は残念ながら二日間とも覚えていません。ちなみに、今日の夢が二日の夜の夢のことで、昨日の夢が元旦の夜の夢のことです。分かり難くてすみません。
 
さて、甘いかどうかはまた微妙なところですが・・・。まあ書きたかったハマイズが書けたからいいや。泉は浜田との関係に名前がつくのが苦手だと思う。それがどんなことであれ浜田に関係することには名前がついてほしくないんだ、って勝手なイメージですけどね!
 
これが最後ですかね。え、これ最後!?バレンタインも書きたいとか言ったらバカですね。うう・・・冬って何でこんなにたくさんの企画が目白押しなんだ!!というわけで文章はひとまずお休みです。春には再開しますので、期待せずにいてください。
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