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CATEGORY:チカナリ
2006年12月17日 (Sun)
この文章には愚劣な表現を含みます(パラレル、同人等)。ご理解頂けたうえで続きを読むからお読みになってください。
この頃不意に視線を感じるようになった。管理棟や渡り廊下などの他学年も使用する場などでは尚更にだ。自意識過剰な者や被害妄想過多な者は時々こういう状態に陥るらしいが、元就はそのどちらとも自分とは違うと思っていた。こころあたりはある、理由は分からないがそんなことをしてくる人物は一人しか知らない。
また、視線を感じた。辺りを見回すとやはりいた。その男は元就と目が会うとさっと目線を逸らし、すたすたと立ち去っていった。男の名は長曾我部元親。以前元就が退屈しのぎにと碁に興じていただけの相手だ。元就が一方的に縁を断ってからいっさい音沙汰なしだ。流石にそれは駄目だろうと毎回謝罪の言葉を並べようとするのだが、なかなか上手くいかない。その所為でこの頃は頻繁に校庭に出て元親を眺める日々が続いている。
「何なのだろうな。我は」
元親の傍にいると酷くかき乱される自分が嫌だった。だが元親との関係がなくなってしまうと、それはそれでとてもではないが冷静には暮らせないのだ。まるで我侭な子供のようだ、全てに満足することがない。ただ違うのは子供は欲求に忠実でいられるが、元就にはそれが出来ないことだ。
元親の関係がなくなってしまい、それを気にしていたからこそ視線にも敏感になってしまったのじゃないかと思う。そのうえその視線の送り主が元親だと知ったときは、本当に驚いた。だがそれ以上に嬉しいと思っている自分がどこかにいた。元親は自分のことを少しは気に止めているのだと、まだ謝る機会はあるかもしれないのだと、元就は自分に囁く。女々しい、何度もそう思った。元親など忘れてしまえばいいのだ。元就がそれほどまでして元親との関係を元通りにする必要はない。それなのに何故・・・。
元就は首を振り、教室へと急ぐ。予鈴はまだ鳴らないが、次の授業の準備を終わらせないことには気がすまない。廊下を歩く元就はいつもと変わらない氷のような冷たさをたたえていた。
授業も終わりあとは部活動をするだけとなったところで、元就は用事を思い出した。図書室で社会科のレポートの資料にと借りていた本に期限が来ていたのだ。図書室は渡り廊下にあって、部室にそのまま行くことができるので丁度いい。だがいつものように校庭を通ること出来ないのだ。まあそんなことに元親が気付くとも思えないが。
図書室に行くと半兵衛がいた。どうやら常連らしく、親しげに司書と会話している。カウンターに返却図書を差し出すと、半兵衛が元就に気付いた。
「あ、先輩。今日僕部活休むんで」
「分かった」
元就は必要の無い会話はしない主義だし、半兵衛も興味のある人間以外には滅多に話しかけない。そんな二人だから会話が続くわけがなかった。
「そういえば、さっき部室覗いたとき元親がいたような気がしたけど」
用件しか話さないというのも時には困る、なぜ元親が部室にいるのかが全く分からない。元就は自分のことを棚に上げて思う。半兵衛から他の情報を引き出そうとしても無駄だろう。ならばすぐに部室へ向かった方が早い。
図書室に暖房が聞いていた所為か廊下はきんと冷えていて、元就は自分の足が思うように動かないことに苛立ちを感じた。やっと着いた部室には明かりが灯っていて、誰もいないはずの部室に誰かがいることを知らせていた。
中に入るといつもと変わらない混雑した部屋の中に異物があった。それは真ん中の椅子を占領し、机にどんと頭を乗せていた。寝ている、すやすやと小気味良いほどの寝息を立ててそれは寝ていた。急いで損をした気分になった元就だったがそれを起こす事はなく、ただ横でぱちんと碁を打っていた。
「うう・・・ん」
元親が余りにも苦しそうな声を出すので、元就は思わず頭を撫でていた。慌てて手を離したが、ふわふわとした鳥のような髪の毛の感触が手に残ってしまった。途端にじわじわとその部分が熱を帯びてくる。胸も苦しいような甘いような不思議な感覚だ。疲れているのかもしれない。そう思った元就はもう今日は帰ろうと、帰り支度をし始める。
だが元親は一向に起きる気配がない。どうしたものかと考えていると、教師が置きっぱなしにしている毛布が目に付いた。その毛布のほこりを外で払うと元親の背にかけて外に出る。置手紙などは残してないが、起きた頃にはもう元就は帰ったということに気付くだろう。
だが何故元親は突然部室を訪れたのか。それに普通は元就が図書室に向かっただけの短い時間であんなにも熟睡できるだろうか。元親ならありえるかもしれないが、それでも通常時とはどこか違う気がした。
もう考えるのはやめる。これ以上考えても無駄だ。人のことを理解するなど出来る事ではないのだ。元就は廊下に吹く冷たい風を受けながらそう思った。
日付越えすぎですね・・・。どんだけだよって感じです、すみません。そして元就!貴方書き易いけど話が進まなくなるのは何故?う~ん。次はどちらでいきましょうか。終わらせることが出来たらいいな。
さて今日はまだハマイズもあげますよ!夜ごろまた書きます。今日は絵茶もあるし忙しくなりそう!
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